カップラーメン大好き悦子の結婚
この数年間、結婚式、披露宴なるものの存在を忘れていた。
去年私の部署からひとりスタッフが結婚した。
ちょうどコロナのクラスターが立て続けに発生していた頃だ。
「師長、このたび無事入籍しました。」
そう頬を染めて報告したのは、看護師歴13年目
主任クラスの悦子だった。
悦子は3食カップラーメンでもかまわないと言い放つ無類のカップラーメン好きだ。
〇〇系カップラーメンなどには目もくれず、とあるメーカーのカップラーメン一筋。
好きすぎて年に1度は、そのメーカーのミュージアムに行くほどだ。
当然ストックはロッカーに山積みされている。休憩室のロッカーを開けた途端カップラーメンが
なだれ落ちるらしい。
もはや主流のマッチングアプリ
そんな悦子の運命的な出会いはマッチングアプリ。
もはや主流になりつつあって、マッチングアプリの名前を聞いても驚かなくなった。
アプリで嫌な思いをしたことがあるスタッフもいるが、それは普通の出会いでも同じ事。
「3食カップラーメンです、っていつ正直に話したの?」
「プロフィールに書いてたんですよ。そしたら同じくって何人かとすぐマッチングして。」
確かに、条件を最初に提示するならマッチングアプリが最適だろう。
偏った(?)食生活も理解してもらえる。
「デートの食事ってどうしているの?」
「カップラーメンは1日1食までにしようって決めたんです。」
「悦子さん、そもそも料理できるの?」
「先月からYouTube視ながら練習しているんですけど、彼の方が断然上手いんですよ。」
悦子は今年35才になる。お相手は34才。健康が気になり始める年代だ。
毎食カップラーメンとはいかない。
子供も出来たら食育は大事だ。
「彼、ミュージアムに行った回数が私の3倍だったんです。それが決め手になりました。」
趣味とか人生観ではなく、カップラーメン愛がどのくらい強いかなのね。
「彼のお仕事は何なの?」
「同業者なんです。看護師14年目です。」
医者の不養生、看護師の不摂生。見事なマッチング。 MIKO
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