ゴールデンウイーク明けは怖い
毎年ゴールデンウイーク明けに、新人看護師の中に数名心や体の不調を訴える者が出てくる。
統計では(個人的な)九州出身者に多い新人看護師のホームシック。
5月病とはよく付けたもんだ。
今年2年目になる鹿児島出身の敦美は1年目に強烈なホームシックになった。
敦美は急にお姉さん口調で言う。
「今年ん新人はホームシック大丈夫ですか?」
アップダウンがすごいイントネーションだ。
「敦美が言うか~?」
敦美の指導者だった先輩の瑠美がすかさずツッコミを入れる。
敦美がホームシックを乗り越えたのは、リハビリ科の高橋クンのおかげだった。
恋の威力は凄い。
あれほど鹿児島LOVEだった敦美が帰省せずにメンタルを保っているのだ。
ブルー君がおかしい
ブルー君は入職直前の休暇中に髪をブルーに染め、入職に合わせて黒く染め直した男性看護師だ。
看護師になった動機も父親の病気で、実にしっかりした看護師だ。
そのブルー君がおかしい。
入職早々濃厚接触者になり、毎日PCR検査し仕事を頑張っていた。
新人はゴールデンウイーク中連休が3日間与えられた。
ただし「旅行や会食はできるだけ控えるよう、感染予防を常に心がけるように」と注意があった。
ゴールデンウイーク明け、遠出したスタッフはほとんどいなかった。
ブルー君の様子がおかしい。
朝の申し送り中、集中していないことがすぐわかる。
怠けている感じではない。何か他のことを考えているのがすぐわかる。
男性看護師の先輩たかしくんに聞いてみた。
「ブルー君どう?大丈夫そう?」
「ブルーやばいっすよ。休憩中ずーっとラインしてるんですよ。悪気なくちょっと覗いたんです。わざとじゃないですよ、見えただけです。」
「それで?何かあったの?」
「ラインの相手、お母さんなんですよ。スタンプがちょっと見えたんですけどね。淋しいって泣いてるスタンプで・・。この前も同じスタンプだったし。」
「ブルー君が?」
「いや・・お母さんが。」
確かブルー君のお母さんは看護師だったはずだ。
早くに夫を亡くし女手ひとつで2人の子供を育てあげた。
お兄さんがいて、ブルー君が一人暮らしを始めたからお母さんは家にひとりのはずだ。
うーん
子離れできていないのか。
しかしブルー君のお母さんの気持ちが痛いほどわかる。 お母さん世代のMIKO
次回ブルー君の面談。
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