濃厚接触者
院内恋愛は自由、独身同士であれば院内の誰と誰が、なんて話は普通だ。
リハビリ科内の二人、放射線科と看護師、薬剤科と看護師、医師と看護師。
結婚するケースもあるし、破局もある。
ややこしいのは不倫(?)とおぼしき2人だ。
本人たちも堂々とできないからコソコソしているが、実はバレバレだったりする。
疑いから確証へ
疑いに留まるのはこんな事。
①病院から出て少し離れたところで待ち合わせしていた。
②当直室から2人で出てきた。
③ため口で話している。
④他の職員とあきらかに態度が違う。
ここまでは確証にはならないが、限りなく黒に近い。
決定打は目撃情報だ。
①どちらかの誕生日に食事していた。
②街で2人に会った瞬間、何故か2人は距離を置いた。
③街で2人に会った瞬間、何故か2人は顔をそむけた。
④手をつないでいた。
⑤腕を組んでいた。
⑥学会に一緒に行っていた。
⑦そのような(はい、あれです)施設から出てくる瞬間を見た。
⑧そのような施設でバッタリ出会った。
⑨そのような施設で車を見た。
④⑤は複数の目撃情報で有効になる。
⑦⑧⑨は決定打だが自分の状況もあらわになるので話すのも勇気がいる。
循環器部長とCCU師長
CCU(循環器集中治療室)の師長はバツイチ子供なしの40代。
循環器部長は家庭ありの40代。
CCUは特殊な医療機器管理や、重篤な循環器疾患の患者の容態観察でピリピリした部署だ。
患者の容態急変も多い。
循環器部長とCCU師長の噂は10年くらい前、CCU師長が主任時代から有名な話だ。
CCU師長の離婚は循環器部長が原因とまで噂されていた。
決定打は①~⑨のすべて。
しかもひとりやふたりの目撃情報ではない。
循環器部長とCCU師長、
医師が男で、師長が女と普通思うだろうが逆である。
循環器部長は女、CCU師長は男。
時々師長の方がため口で部長に話していることから、2人の関係は師長が優位ではないかと推測されている。
まったくもって色めいた話は似合わない2人だ。
循環器部長が陽性
そんな2人が揃って新型コロナに感染した。
循環器部長が咽頭痛を伴う発熱でPCR検査、即陽性。
濃厚接触者はいないか部長に聞いた。
「娘2人は4日間すれ違いだし、夫は出張中、濃厚接触者はいないわ。」
「師長は濃厚接触者じゃないんですか?」
「濃厚接触者じゃなくて超濃厚接触者ですよね?」
方々からそんな声が聞こえたが師長は無視した。
「病院では互いにマスクして15分以上は会話していません。濃厚接触者には該当しません。」
これが師長の言い分だった。
CCU師長も陽性
残念なことに師長は翌日発熱しPCR陽性だった。
循環器部長と症状が酷似している。
念のため数人の職員がPCR検査を受けたが皆陰性だった。
今、循環器部長とCCU師長は揃って自宅療養している。
コロナが証明した2人の関係だった。 MIKO
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