就寝後の電話
「お風呂入っている時も気がかりでスマホを持ち込んでる。」
「私も。夜も着信音大きめに寝てるもの。」
「本音を言うと現場で解決してほしいわ。」
「休みの日もすごく気になるのよ。」
師長会が終わった後、廊下の端で仲のいい師長3人で話しこんだ。
「いつまでも私がいないと決定できないのもどうかなって思うけど。」
整形外科の師長真奈美は定年まで5年を切った。主任が30代なので子供のようだと話す。
休みの日や、夜も関係なく電話がかかってくるそうだ。
おおらかな態度とふくよかな体型から「母上様」と親しまれている。
「真奈美さん、頼りがいがありそうだもの。なんでも相談したくなるわよ。」
「昨日なんて夜中の2時よ。思いっきり寝ぼけ声だったわ。」
その口調から迷惑と思っていないことがわかる。
聞けば朝一番の手術の患者さんに必要な点滴がオーダーされていなかったとか。
「その前の日は朝の5時よ。“師長さん、もう起きてます?”って起きたくなくても起きるわ。」
「何の電話だったの?」
不眠症気味のICU師長伸子はあからさまに嫌な顔をして聞いた。
「その日の夜勤のスタッフの子供が熱出たらしいの。ただラインのやりとりだけど、もしかして休むかもしれないって。」
「それだけ?」
「夜勤の欠員は困るからね。日勤者を夜勤にするか考えたみたい。」
うーん、朝5時の電話の内容かな??
「ICUって停電に敏感すぎてね・・。この前休みの日に豪雨で一瞬停電したでしょ。何回も着信があったの。私映画観てたんだけど、気になってまったく映画のストーリーが頭に入らなかったわ。」
ICUは非常用電源を使用しているから停電でもほとんど影響がないが、それでも連絡が入るらしい。
いつも頭の片隅に仕事
管理職なら職種関係なく、頭から職場の事が離れないんじゃないかな。
オンオフの切り替えはできていても新人看護師のことや、患者さんのこと、モチベーションが下がっていたスタッフのことがふと頭をよぎる。かと言ってどこにも出かけず仕事のことばかり考えているわけではない。趣味に没頭したり、韓国ドラマを16話いっきに観たり休みを楽しんでいる。
私が休みの日は、主任か副主任を必ず出勤にし病棟の管理を任せなければならない。
休みの日に誰が代行で管理するかで、心の休息度合いが違う。
もっと言えば休みに何ができるか左右される。遠出して日帰り旅行か、近場に買い物か、または家で韓国ドラマか決定する要因になるのだ。
今日の休みは久々美術館巡りを楽しめた。
途中何度もスマホを見たけどね。
美術館を出てホワイエでお茶した時、スマホを眺めながらなんとなく寂しい気持ちになってしまったのは何故だろう・・。 MIKO
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