2022年度入社式
4月1日、紺や黒のスーツで新人看護師たちが正面玄関に集合した。
看護部秘書が各入社式会場へ案内する。
集合時間は朝8時、早い子は7時30分前に、遅い子は8時2分過ぎて全員集合した。
皆が注目した「ブルー君」
休み期間中に、髪を鮮やかな青に染めた男性看護師の髪は見た目真っ黒だったが、
光の当たり加減でパープルに輝いていた。
通常入社式は事務職、研修医、パラメディカル合同でおこなわれる。
2年前から新型コロナの影響で、各部署の研修室でハイブリッド形式だ。
マスク着用、消毒、会話なし、握手なしなら集合形式でもいいのでは?と声があがったが、感染対策室(病院の感染防止のために活躍する部署)の許可が下りなかった。
しかし、その判断は正しかったと言える。
4月2日の午後、新入職員の男性看護師1名、事務職1名から新型コロナ陽性者が出たからだ。
入社式の数日前ユニフォームの採寸に訪れた時にコロナの検査は実施し、全員陰性が確認されていたはずだった。
4月2日、世話係の秘書が37.0度の新入職員と、咳が止まらない新入職員を救急外来の個室に連れて行った。
「検査して陰性ならオリエンテーションしていいんですよね?」
早ければ30分以内で結果がわかる。
新入職員の新型コロナ陽性者と濃厚接触者
2人の新入職員の陽性が判明した時、世話係の秘書や看護管理部がざわついたのも無理はない。
感染対策室は濃厚接触者がいるか調べ始めた。
「会話なしマスク着用のハイブリッド入社式なら院内の濃厚接触者はいません。ご家族だけでしょう。」
「それが・・・。」
新型コロナ陽性が判明した看護師と4月1日の帰り、ラーメン屋に寄った新人がいた。
ブルー君だった。
「彼とマスクなしでラーメン食べたあと30分くらい話しました、すみません。入社試験の時から気が合ってて・・。」
ブルー君は濃厚接触者、毎朝検査し陰性なら就業可能となった。
他の新入職員で濃厚接触者はいない。
少し前までは新入職員同士で宴会や食事会もあったよね。
ラーメン屋で30分話しただけなのに。
ブルー君は社会の厳しさを、1週間の鼻腔検査(コロナの検査)で痛感することだろう。 MIKO
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