男性看護師②

男性看護師の恋愛事情
前にも言ったように男性看護師は意外とモテる。部署がほぼ女のため、ルックスに関係なく恋愛対象には困らないらしい。外科病棟のたかし君も同じく何故かモテる。
たかしくんは関東出身の7年目のリーダークラスだ。3年目の時転職してきた。新卒で精神科に入職したが、一定の看護スキルを身に付けたいと面接時に話していた。
しかし本音は
「精神科に実習行って、なぜ精神を病んだのか、その転換に興味があって寄り添いたいって思って精神科を選んだんですよ。でもリアリティショックと言うか、現実を目にすると僕みたいなひ弱な性格じゃ勤まんないって挫折したんですよ。」と言う。

細めの長身、既往歴が「気胸」で体格を察していただきたい。
精神科では内科併科の重症病棟だったらしい。
「いきなりドア蹴りとかあるんです。先輩たちはドア蹴りされても、壁どつかれても平気だし、突然きても平気なんですよ。それが僕3年間ビビりまくってて。」

たかしくん過去を語る
リーダークラスの看護師とは話す機会が多い。ナースステーションでたかしくんに聞いてみた。
「精神科で一番学んだこと、喜べたことは?」
「患者さんが退院できた時ですよ、やっぱり。自殺企図の患者さんが看護の甲斐あって退院できた時は喜べましたね。」
「逆に辛かったことは?」
「その患者さんが3日後に自殺未遂で運ばれた時ですね。実際繰り返しでした。じゃあ医療って、看護って何?と思うし、3年いて例えば挿管スキルとか、急変時の対応ってほとんど学べなくて。」
「転職して良かった?」
「幅が広がりましたね。ただ給料は下がりました、夜勤しても今より5万以上多くもらえてたし。前の経験を活かせてないわけじゃないです。誰もが精神って少なからず病んでるし、気持ちがよくわかるんです。」
もしかして、女の看護師より精神的に患者さんに寄り添っているんじゃないかしら。

たかしくんの恋愛
たかしくんは2年前から手術室の看護師と交際している。彼より3歳年上の32歳で、認定看護師を目指しているらしい。手術室の看護師は外科看護師よりたいてい強い。
外科は患者さんを送る側、手術室は受ける側、こういう時って何故か受ける側が強いんです。
手術が終わってホールで申し送りをする時
「ルート漏れてましたよ、取り直してますから。師長に言っててくださいね。」とか
「家族さんにはどこで待てばいいか、きちんと説明してくださいね。困ります。」とか叱られることが多い。たいてい手術前の申し送りは超緊張するらしい。

たかしくんは精神科出身にもかかわらず、最初の独り立ちオペ出しから流暢だったらしい。手術室の主任も褒めていた。
必ず、患者さんの精神状態、家族の心境を最後に付け足す、と評判だった。
患者さんにも
「僕が迎えに来ますからね。安心してください。」と声をかけ、患者さんからも感謝されることが多かった。

そんなたかしくんが手術室看護師と交際するきっかけになったのは学会発表だ。
2年前、外科病棟と手術室が同じ学会に研究発表した。その研究の進捗状況を互いに聞き合ううち、惹かれ合ったと噂されている。
手術室はマスクに加えてキャップも常時付けているから、学会発表の時、スーツ姿でロングヘアの手術室看護師の姿にたかしくんは完全に落ちたらしい。二人ともいい年ごろだ。
成就すればいいなと願っている。

「今の給料じゃ家族養えないですよ。奥さんにも働いてもらわなくちゃ。ここって2年育休取っている職員います?」

たかしくんも将来を考えてるね。  MIKO

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