休憩室
病院にも当然休憩室がある。
どの職場にもあるように、冷蔵庫、流し台、電気ポット、ソファ、テーブルがある。
壁には個人用の小さなロッカーの棚があり、それぞれの休憩時間を楽しんでいる。
テレビは以前はあったが、最近のスタッフはテレビは見ない傾向なため故障のついでに撤去する病棟が増えた。
圧倒的にスマホいじりで各々過ごすことが多く互いに干渉しない。
休憩室には月めくりのカレンダーと勤務シフト表がある。
毎月1週間過ぎて誰かが気付いてめくっている。
冷蔵庫
看護師は几帳面でキレイ好きと思っているならば、休憩室の冷蔵庫を見たら夢から覚めるだろう。
汚い、とにかく汚い。
毎週日曜日の夜勤看護助手が「冷蔵庫の清掃」係になっている。
係がなければ冷蔵庫は腐敗物で占拠される。
スタンダードな、特別な機能もない冷蔵庫は誰かの不用品だ。
冷蔵庫に食品を入れるときは日付と名前を書いて入れる決まりがある。
ひとり3品までだが、無視するスタッフもいる。
「調味料（マヨネーズやドレッシング）は１品に入らないわよね。」
「大小に関係なく３品？それ意味ないよね。占領する面積の問題なのに。」
と意見は色々だ。
カップのサラダが妙に水っぽいと思ったら賞味期限を2週間過ぎていたとか、
歯形のついた羊羹が入れてあったとか。
長いこと入れているドレッシングを見たら、5年前退職したスタッフの名前だったとか。
キレイ好きなスタッフは決して冷蔵庫を使わない。いや開けることができない。
私も休憩室の冷蔵庫は開けることができない。
開けてしまったら、おそらく中の物全て捨ててしまうだろう。
もしかしたら冷蔵庫ごと捨ててしまうかもしれない。
流し台
休憩室の流し台には食器洗いとスポンジが置いてある。
休憩室の備品や日用品は必要物品として病院の日用品部門に注文することができる。
ただし一番安価なものが支給され、ラップなんてビニールのように切れ味の悪いやつ。
食器用洗剤も懐かしいフォルムのそれだ。
流し台は歯磨きや洗面も兼ねている。
というより洗面専用だと思っている。
その洗面専用の流し台で、使った箸や弁当箱を洗う場面を見ると気絶しそうになる。
衛生的にどうかと一度休憩室でスタッフに言ったことがあるが、
「師長さん神経質すぎる～。」
「潔癖～。」
と一笑されてから気にしないことにした。
スタッフそれぞれのカップが流し台の横の狭い収納スペースに並べてある。
ほとんどがキャラクター物だったり景品だったり。
6割のカップが茶渋で変色している。
今朝、休憩室のロッカーに荷物を入れていると、夜勤の男性看護師たかしくんが休憩室に入ってきた。
「師長ー、おはようございます！めちゃ疲れましたよ。」
と勢いよく流し台で顔を洗い出した。
そのしぶきが、並べてあるカップに飛び散っていた。
見なかったことにしよう。 MIKO
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