病院の情報管理課

縁の下の力持ち情報管理課
電子カルテを導入している病院にとって縁の下の力持ち的存在「情報管理課」。
情報管理課は電子カルテのシステム設定から、日々の電子カルテ、端末に関する不具合やオンライン会議や研修のセッティングまで携わっている。

情報管理課長の修二は入職30年の大ベテランだ。まだ電子カルテが導入されていなかった頃は、医師のオーダーリングシステムや、個人情報保護に関する規約を整える役割をしてきた。
努力家で電子カルテ導入の数年前から大手電子カルテメーカーのセミナーに参加していた。
そのお陰で、電子カルテ導入の話が出た時には様々なメーカーの使い方を知っていた。

情報管理課は10名の部署だが、若手男子は風貌が似ていて誰が誰だかわからない。
眼鏡、やせ型、髪型まで似ている。
話し方までそっくりで、皆小さな声で専門用語を並べるから区別が付かない。
修二もここ10年くらいで肉付きは良くなったものの、髪型と眼鏡は共通している。
他の男子が全員黒縁眼鏡に対し、修二はあえて金縁のややイカついデザインを選んでいる。

イカつい眼鏡の理由
「いや、医者から上から目線で言われること多いのよ。せめて見た目だけでもイカつくして専門用語並べてやろうかなって。」
確かに医者が自分のオーダーミスをシステムのせいにしている事が多々ある。
「食事オーダーが入力できないと入院決定できないわけよ。このシステムどうにかしてくんない?」
「前の病院では、もっと患者基本情報が見やすかったけどシステム変えれない?」
無謀な要望に、修二は冷静に対応する。
「要望としてメーカーに聞いてみますね。おそらくシステム変更として100万円くらいだと思います。」
大体その一言で医者は諦める。

予算をケチると労力が増える
電子カルテ導入前に、病院側が予算に応じてパッケージを選んだ。
ランクで言うと下から2番目のパッケージだったらしい。
予算内で組み込めるシステムは、導入前に情報管理課と各部署の代表者が半年間かけて話し合った。
ワンランク上のシステムを選べば解消できた問題も、導入後に付け足すとびっくりするくらい高い。
システム変更の見積もりは桁がわからなくなると修二が言う。

「システムのことで聞かれるのはいいんだけど、この前も電子カルテの不具合で呼ばれてね。数字が全く打てなくなったって言うから行ったら案の定Num Lockでさ。」
他にも電源が入らない、ログインID忘れた、処方箋が出てこない、レントゲン画像が見れないetc。
修二のPHSは鳴りっぱなしだ。
大抵は情報管理課の若手たちに対応させるが、若手たちはトラブルシューティングだけで指導が苦手だ。

付き合い下手な情報管理課
「情報管理課の人って何言ってるかわからないのよ。」
そんなに難しいことは言っていない。
「端末の番号わかりますか?」
「端末って何よ。」
この調子だから超嚙み砕いて説明しなければならない。

「電子カルテ操作マニュアルって全部の部署に配布されてるんだけど、だーれも見ないの。聞いた方が早いって思ってるんだろうね。」
99%凡ミスレベルのトラブルに、今日も情報管理課は院内を走っている。  MIKO

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