研究が必要な理由
スタッフがビビりまくる言葉に「看護研究」がある。
この看護研究、どの委員会活動より自分時間を犠牲にしなくてはならない。
毎年5月にはメンバーを決め、9月中間発表、1月発表だから実際は1年に満たない。
メンバーは輪番制、次に誰が担当か決まっているが色んな理由で皆避けたがる。
「来年息子が受験なんです。」
「最近母親の体調が悪くて」
「チームリーダーもやりながら看研(かんけん)ですか?無理です。」
など皆防波堤を作る。
「じゃあ、逆にやりたい人いない?」
主任の早紀がミーティングで問いかけた。
当然一同シーン。
主任早紀の焦り
看護研究は主任会が運営している。
「小児科病棟は去年から今年の研究に取り組んだらしいんです。」
早紀が泣きそうな表情で言った。
「他と比べない方がいいわよ。皆が集まっている時に手上げ方式も厳しいかもね。」
異動や中途者入職で単純な輪番制とはいかない。
「中途入職者に看護研究お願いしても『よそで去年やったから』なんて言うんです。」
先はメンバーが決まらないことに焦っている様子だ。
次の主任会で看護研究のテーマと進捗状況を報告しなければならないらしい。
「大体テーマが決まらないんですよ。」
「今問題になっていることは何?」
「やっぱり面会制限ですね。それと申し送り、手術前チェックリスト、承諾書の管理・・・まだまだいっぱいありますよ。あげたらキリがないくらい。」
「業務改善になるけど、改善したプロセスも看護研究のテーマになるわよ。他に何か知りたい情報はない?」
「手術前に医療者側の行動と患者さんへ与える影響も知りたいって思うんですよ。」
「いい視点ね、手術前の患者さんってナーバスだから、どんな行動がどう影響を与えるか調べてみるのもいいかもね。そんな事を誰かと一緒に話したりしていない?」
早紀は少し安堵した表情になった。
看護研究
看護研究は日頃の小さな疑問や問題を良い方向に導くための研究だ。
力を入れて取り組むものではない。
研究発表や学会発表があるため自然と気負わざるを得ないが、
研究プロセスをまとめ、発表を終えた時のさわやかな笑顔は達成感そのものだ。
しかし若い頃私も「看護研究に当たりませんように」と祈っていたものだ。
くじ引き方式だった時代、大波乱を巻き起こしたこともあった。
今でこそ冷静に「気負わないで取り組んで」とアドバイスしているが、
くじ引きで当たり(という名のハズレ)を引いたときは絶叫したほどだ。
皆の気持ちよくわかるよ。 MIKO
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