勤続30年の看護助手

情報通の看護助手
病棟イチ情報通は何と言っても看護助手。
看護助手は初任者研修という、少し前までは「ヘルパー2級」と呼ばれていた資格を取らなければいけない。
入職時に資格が必須ではなく、入職後1年以上経つと病院側からすすめられる。

看護助手、呼び名は助手さん。施設によってはエイドさんと呼んだりもする。
助手さんはとにかく情報通だ。院内を駆け巡るからとにかく情報が入る。
誰と誰の仲が怪しいとか、〇病棟のベテラン助手は意地悪だとか、〇病棟に異動した〇助手は夜勤回数が倍になったとか、一見どうでもいいようなことだ。おそらく彼女たちにとっては大スクープなのだろう。

ベテラン助手ヨシ子
今年58才の助手ヨシ子はパート時代も含め勤続30年の大ベテランだ。
入職当時はパートだったが、40を超えて離婚後正社員になった。離婚当時中学生だった双子の男の子を立派に育てあげた。初任者研修もとうに受け、今では院内助手会のリーダーになっている。

そんなヨシ子は院内の出来事を何でも知っている。
医学的な難しい話や薬剤関連以外はとにかく何でも知っている。
コンセントの場所、どの資材がどの倉庫にあるか、リネンの在庫数から清掃員さんの私服の好みまでありとあらゆることを知っている。

遅れた配膳車
この前昼の配膳車が5分遅れたことがあった。
「遅いですよね、インスリン打った患者さん大丈夫ですよね?」
ヨシ子が言った。さすがだ、そんなことまで心配している。

「あっ、もう来ます!」
ヨシ子がスタンバる。
「どうしてわかるの?」
「今、ガタンとかすかに響いたでしょう?あれ配膳車が運搬エレベーターに乗る時の振動なんです。」
本当だ、それからすぐにエレベーターが動き始めた。振動なんてなかったけど?

配膳車がくるなり、ヨシ子は糖尿病患者の昼食を取り担当看護師へリレーした。
「さっきインスリン打ってたでしょ。早くごはん食べさせて。」

看護学生に優しい看護助手
助手さんは学生に優しい。学生も助手さんに懐いている。これはどの病棟でも言えることだ。

看護実習の場面でも助手さんは能力を発揮する。
陰部洗浄ボトルに何℃くらいのお湯を入れたら実施時にちょうどよい温度になるか。

どの病棟の学生担当看護師がキツイか。どの病棟が朝の申し送りが長いか。(朝の申し送りが長いから、しっかり朝ごはんを食べていくように助言するのだ。)

学生はとにかく看護師をつかまえるのに必死だ。
患者さんに何を聞かれてもわからない。
けれども「わかりません」と答えられず、看護師を必死に探す。

救世主ヨシ子
そんな時助けてくれるのがヨシ子だ。
どちらかと言えば、ヨシ子の方からやってくる。
「ん?どうした?」
「困った顔探知機」でも付いているのかすぐに駆けつける。
「患者さんが売店にイヤホンは売ってあるかと。」
「あるある、売店入ってすぐ左側。2mと3mのイヤホンがあるけど2mで十分だから。」
こうしてヨシ子は学生の頼みの綱になってゆくのだ。

ヨシ子の健康法
売店に何が売ってあるか、人気の弁当と、何時にサンドウィッチが売り切れるかまで知っている。
売店のスタッフとも大の仲良しだ。

「私はね仕事が健康に役立ってるんです。ほら見てくださいよ。」
ヨシ子が腰に付けた万歩計を見せた。
14時で1万歩を超えていた。  MIKO


コメント

タイトルとURLをコピーしました