医局人事

異動の季節

異動は看護師ばかりではない。

医局人事があり、大学病院の医局から医師を確保している病院にとってはドキドキの3月だ。

医局人事発表は年末か新年明けて1月が多い。

本来の医局人事のとおり、新たに開院した関連病院から医師派遣を依頼され

「では、〇〇病院の脳外科の〇〇医師をそちらの部長として・・。」

と異動を打診するケースに加え、

「この病院は続けられない。」

と医師の希望に答えて異動させるケースがある。

消化器内科の美智恵先生

胃カメラ、大腸ファイバーを主な業務としている消化器内科は

医師10名が所属している。

毎週1回の医局カンファレンス開催、

看護師やリハビリ科、医事課が参加するケーススタディを月1回おこなっている。

その他にも困難事例や学会発表事例を院内で発表しているアグレッシブな診療科だ。

その消化器内科で唯一のベテラン女医、美智恵副部長が3月末医局人事で異動する。

3月末の異動がわかった1月に、

内視鏡センター(胃カメラや大腸ファイバーをおこなう部門)の技師や看護師たちは絶叫した。

「美智恵先生が辞めるんだったら私も辞めます。」

「先生どこに行くんですか?私も連れて行ってください。」

美智恵先生の新しい職場は通勤に1時間半かかる新設の病院だった。

その新設病院に消化器内科部長として就任が決まった。

大出世だから喜ぶべきだが、ついて行ける距離ではない。

近隣から通っている看護師たちには現実味のない病院だった。

本当の理由は

美智恵先生の異動理由は医局人事は表向き、

実際は消化器内科部長と折り合いが悪かったからだ。

内視鏡の技術は断然美智恵先生が上だった。

技師、看護師とコミュニケーションを上手く取れるのも美智恵先生だった。

実際外来でも美智恵先生の人気は高く、「次の部長」と誰もが疑わなかった。

しかし美智恵先生は消化器内科部長より2才しか違わない。

ということは、現消化器内科部長が副院長に昇格しないかぎり、

実力はナンバーワンなのにナンバーツーの立場なままだ。

1、2年前から部長が時々美智恵先生に厳しく注意しているのを内視鏡センターの看護師たちは聞いていた。

それで美智恵先生は異動をお願いしたのでは?

「違うわよ、普通の医局人事よ。新設の病院だから大変よ。」

部長は美智恵先生の技術と人気を妬んでいる、と噂があったが嘘ではなさそうだ。

美智恵先生の退職が決まった途端、部長の機嫌はすこぶる良くなった。

「惜しい人材だよな。病院にとっても大打撃だ。」

と言っているが目は笑っている。

おそらく数年で美智恵先生率いる新設病院の内視鏡センターはうちと比較にならないほど伸びるだろう。

学会発表や研究、症例数も。

その時部長は本当の意味で「病院にとっても大打撃だ。」と言うはずだ。  MIKO

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