年末年始の勤務② 放射線科

勤務争奪戦の部署
年末年始に勤務争奪戦になるのは決まって放射線科と検査科だ。
休暇勤務になるため日勤は2名、当直は1名になる。
12月30日から1月3日までが年末年始手当の対象になる。

看護師の年末年始日勤手当が14000円に対し、パラメディカルは8000円。
看護師の年末年始夜勤手当が28000円に対し、パラメディカルは16000円。
同じ医療職でも手当に違いがある。当然医師は更に桁が違う。

それでも30日夜勤、1月2、3日に日勤をすれば通常より32000円の手当が付くからその差は大きい。
その他夜勤オンコール(待機)なるものがあるが手当は3000円と安い割には、酒が飲めない、コールがあったら1時間以内に配置につかなければいけないなど縛りが多く、誰もやりたがらない。
例えば大晦日と元旦に夜勤オンコールに当たった場合、酒も飲めなければ遠出も(爆睡も)できない。
常に電話を気にして過ごすのだ。
風呂にもスマホを持ち込む徹底ぶりらしい。

過去オンコールで呼ばれた率は平均2割(5日間の夜勤オンコールでは1日)、緊急カテーテル検査が入り放射線科1名がカテーテル検査に配置され業務が回らないため待機の1名を呼んだ。
「何も仕事しなくて3000円、5日間で15000円貰えるなんていいですよね。」
なんて何も知らない子は言うけどその苦労たるや並みじゃない。

初めから2人夜勤にすればいいいじゃないか、と思うけど人件費を考えるとこの自宅待機制が割安なのだ。
カテーテル検査業務、造影検査、カメラ室業務ができる放射線科技士を年末年始に配置するとベテラン技師の配置が至極当然だが、キャリアの浅い技士も年末年始に勤務希望が殺到するらしい。

放射線科技士長の圭祐が溜息をつきながら言った。
「新人を年末年始に配置させたいけど、造影もカテも1人じゃ厳しくてね。結局ベテランばかりの配置になるんだよね。みんな働きたいスタッフばかりだし。」

圭祐が悩むのも無理ない。
年末年始にベテランを配置すると年明けの通常勤務にベテランを休ませることになり、なかなか難しいのだ。
「結局毎年僕がオンコール。」

圭祐は今年55歳、初詣も近所の神社で、お屠蘇すら口にしないと言う。
「去年は電話が鳴って15分後には病院に着いたんだよ。」
自慢げに圭祐が言った。
「カテーテル検査に技士が入ったから一般撮影業務をカバーしたんだけど、カテーテル検査が1時間で終わって僕の任務終了。ホッとして帰ったら2時間後にオンコール。」
苦笑いしながら圭祐は言ったけど、技士長だからできた過酷な勤務だと思う。

「今年も圭祐さん、オンコール?」
「もちろん。師長さんたちもオンコールのようなもんでしょ。」

確かに・・。
緊急事態には必ず連絡が入り遠隔指示しなくてはならない。
場合によっては出勤だ。

初詣にはお願いごとの他に、
「病棟が何事もありませんように。」
が欠かせない。  MIKO

コメント

タイトルとURLをコピーしました