患者さんからのお心遣い

お心遣いは不要です

ホームページにも院内の案内にも書かれている一文。しかし実際は今でも退院患者さんの中には「これ皆さんで・・。これは先生に・・。」と紙袋を渡される。

いつものように、「いえいえ、受け取れないことになっているんです。」「ほんのちょっとです。本当によくしていただいたので。」きっぱり断りはしない。世間一般のおばちゃんのやりとりと同じだ。紙袋が互いの間を1、2回行き来したところで、医療者の手に渡る。そもそも買ってこられた菓子類(菓子と決まったわけではないが)を受け取らず、どこで誰が食べると言うんだろう。

「ほんとにすみません。ありがとうございます。」

看護部長から過去何回も「お心遣いは受け取らないこと」と通知が来たが、きっぱり断ると失礼な印象になるのだ。

「お気持ちだけいただいておきます。」では通用しない。

「お心遣いが習慣化してしまわないように。」と部長は言うが「退院時には何かお礼を」という慣習はとうの昔の話だ。当然、いただき物で扱いが違うなんてことはありえない。ナースステーションのカウンターに置いて帰る家族もいる。

それならば、受け取って丁寧にお礼がしたい。勿論金一封は丁重にお断りする。

午前10時の退院に合わせて家族がお菓子の紙袋を持参する。10時前に百貨店など開いていないから、前日や前々日に用意したのだろう。看護師の数など知らないはずだ。決まって数の多い箱物。紙袋は休憩室に運ばれ、メモが貼られる。

「〇〇さんよりいただきました」丁寧に熨斗も残している。私が終業する頃にはそのお菓子は数個しか残っていない。皆包みを開けて喜んだに違いない。子供のような彼女たちを想像すると微笑ましい。

紙袋は捨てずに定位置に保管してある。転院や退院の時、荷物を入れるものがない患者さんに大きめの紙袋は重宝するのだ。残り少ないお菓子を貰おうか迷ったが、すぐに夕飯だ。おやつにいただくには重量の多い饅頭だ、やめておこう。夜勤の子が食べるかもしれない。

案の定翌日出勤した時には空箱すらなかった。

こうやって頂き物のお菓子は秒~長くて1日で姿を消す。  MIKO

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