病院の栄養士

栄養素オタクの賢治

栄養科科長の賢治は病院食の普通食メニューを1ヶ月分暗記している。
メニュー暗記にとどまらず栄養素も言えるほど栄養士という仕事に責任感を持っている。

一見凄い!と思うが、実際は朝はほとんど同じで、メインメニューは月~日で分類されているから、実はたいしたことない。
例えば月は魚系、火曜は肉系(豚か鶏)、水曜はカレーやシチュー系と決まっているから暗記しやすい。

リハビリで入院している患者さんが、献立を見なくても曜日で予測できるくらいわかりやすい。

賢治の優れているところはメニューを1カ月分言えるだけでなく、栄養素にとにかく詳しい。
「患者さんのAさん、リハビリ始まりましたよね。おそらくサルコペニア(加齢による筋肉量低下や虚弱)なのでタンパク質摂らせてください。」
「患者さんのBさん、BMI高いですね。カロリー制限か、糖質検討するかおねがいします。」

賢治は院内のNST(Nutrition Support Team)の副委員長だ。NSTとは患者さんへ効果のある栄養療法を提供するために、様々な医療職種で構成されたチームのことで、委員長は医師だがほぼ委員会の実権は栄養士にある。

NSTカンファレンスは週に1度、1時間開催される。看護師もNSTチームの一員だが、なかなか発言できない。栄養素や嚥下、栄養補助食品に疎いからだ。補助食品の成分表を見てもカロリーだけにこだわる。タンパク質やビタミン含有量には基本的に着目しない。
「やばくないですか?これ、250㎖で250kカロリーですよ。」
こんな声がよく聞かれる。

賢治の功績
職員全員の栄養リテラシーを上げたのは賢治の教育・指導力の賜物だ。
毎月NSTニュースを発行して8年になるが、最初は誰も目を通さなかった。配布されてもゴミ箱に捨てられていたくらいだ。堅い文面が多く、読む気にならないニュースレターだった。
それが年毎に進化し、院長との対談や、患者さんの回復例を交えたり、新商品を試してみた感想など、あの手この手で工夫した結果、職員から毎月の発行日が待ち遠しいと言われるまでになった。

地域医療機関向けのセミナーも副院長のセミナーより受講希望者が多い。
「医食同源」が賢治の座右の銘だ。(たぶん)

今日も賢治は西に東に食で困っている患者さんの元へ走る。
ホントその名前ぴったりよ、賢治。  MIKO

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