看護師リーダーの役割②

ITに翻弄された頃
私が若かりし頃、リーダー業務を難なくこなしていた綾子サマ。

電子カルテ導入したてだったから、医師も看護師も模索しながら業務をしていた。
半年間電子カルテのメーカーが院内、もしくは遠隔で付きっきりだったが、対応は先着順で自力でカチャカチャ動かした方が早かった。メーカーの対応は医師優先だったからだ。
看護師、コメディカルは2の次。
導入半年間の、メーカー依頼回数院内最高は院長だったと後から聞いた。

早打ち綾子サマ
皆が左右の指2本で電子カルテを操作している時、キーも見ずに操作していた綾子サマ。
「キーを見ずになぜそんなに早く打てるの?」
当時の師長が綾子サマに聞いたことがある。
「JとFがわかるようになってるし、ショートカット使うんで。」
何を言ってるか皆まったくわからなかった。

指示受けリーダー
綾子サマがリーダー業務専任になったのは、電子カルテの操作に長けていたからだ。まず指示受け漏れがない。検査に対して食事の変更や一連の業務に一切漏れがなかった。
よほど電子カルテ操作マニュアルを凝視しているかと思いきや、ほぼ「カン」だと言っていた。
綾子サマのリーダーの時は、ほぼナースステーションに籠りっきり、淡々と電子カルテに向かっていた。

他部署からの電話も要件だけで終え、
「綾子サマの電話の態度、どうにかならないの?」
と他部署から愚痴られたこともあった。
淡々とパーフェクトに、指示受けをこなす。

あるインシデント
綾子サマがリーダー専任になって3カ月経った頃、あるインシデントが起こった。インシデントとは医療ミスのことで、当時はその名称は浸透していなかった。
綾子サマが淡々とリーダー業務をしている時、緊急入院があった。
空いているベッドはひとつ、しかし隣に同姓患者がいた。仮にその患者さんを佐藤さんとしよう。

綾子サマは翌日部屋移動をするつもりで佐藤さんを受け入れた。
佐藤さんと佐藤さんが同じ部屋に横並びになるのだ。これは受け持ち看護師や部署全体を集めて注意すべき事項だ。
しかし電子カルテでは同姓患者が入ると「注意しなさい!」と言わんばかりに、2人のカルテを開けると赤くサインが点滅する。
電子カルテと連動したナースコールシステムも点滅し出した。

患者間違い
新入院の佐藤さんにCT検査が追加され、綾子サマはフリー看護師(受け持ちを担当していない看護師)に伝えた。フリー看護師は他の患者さんの検査出しがあったため、その部屋担当の看護師に伝えた。その部屋担当の看護師は、新しく別の佐藤さんが入院してきた事を知らなかった。朝から受け持っていた佐藤さんに声をかけた。

「佐藤さん、CT検査が入ったそうです。助手さんが案内しますからね。」
「あれ?先週撮ったばかりだけど。」
患者さんは怪訝な顔をしたが、言われるままに助手さんと放射線科に行った。
放射線科受付けで名前を伝え、CT室に入った。CT台に横になった時、放射線技師からフルネーム確認され患者間違いが発覚した。

綾子サマの一言
この一件は重大なインシデントとして院内でも注目された。当時の師長や外科部長もあるまじきインシデントとしてとらえていた。
緊急部署カンファレンスが開かれ、事例について振り返った。
間違って伝えた部屋担当の看護師は泣きじゃくっている。

「綾子さん、リーダーとして同姓患者が入る時は部署の皆に伝えるべきだったんじゃないの?」
師長が厳しい口調で言った。
「電子カルテ見たらすぐ赤アラートが点滅するんでわかると思います。」表情を変えず綾子サマが返した。
「新患(入院患者さんのこと)の時は更新しないと電子カルテに反映しないんです。」他の看護師がすかさず言った。
「1時間に1回更新するの常識でしょ。」態度を崩さず綾子サマが言った。

この言葉がきっかけで、まるでダムの放流のごとく出てくる出てくる綾子サマへの不満。
何を言われたか。その後綾子サマはどうなったかは次回。 
MIKO

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