看護師恋愛事情②

医事課男子と結婚した成美
成美は入職5年目で医事課の啓介と結婚した。院内恋愛からの結婚とあって結婚式には院長はじめ、看護部長、医事課の職員、外科病棟職員が参列し、まるで病院の忘年会みたいに盛り上がった。
啓介は成美と同い年、細身の長身で外見も気にするタイプだ。身だしなみにも気を遣い、いつも糊のきいたシャツを着ていた。成美と啓介の出会いは年末年始の仕事中だったという。大晦日も元旦も日勤だった成美と、おなじく両日日勤だった啓介が意気投合し交際が始まった。交際から結婚まで11か月の速さでできちゃった婚だった。

よくあることだが、結婚式の職場上司のスピーチでは、二人がいかに病院にとって重要な人材であるかを強調する。私も成美の誠実さや、仕事現場でいかに高齢者に優しいか強調したスピーチをした。70%増しのほぼ嘘のスピーチだ。外科看護師のテーブルでは皆顔を見合わせて苦笑いしていた。
成美が妊娠中のため、新婚旅行も行かず二人の生活が始まった。妊娠すると夜勤免除が認められる。勿論体調次第では夜勤に入る妊婦看護師もいるが、正直周りが気を遣うらしい。
成美はツワリがひどく夜勤免除を希望してきた。
「夜勤なしで生活していけるか不安です。医事課って本当に給料安いんです。」
とは言っても二人合わせた収入なら十分だろう。
「家建てたいんですけど、そうなったら私一生働き続けることになりそうです。」
結婚した看護師は何故か家を建てたがる。もしくは新築マンションを早々に買いたがる。結婚相手が転勤族なら別だが、特に同業者の場合、新婚早々に家を建てるカップルも少なくない。

旦那教育
成美は産休育休後、外科病棟に復帰した。病院と同じ敷地内の院内保育所を利用し、夜勤の時は旦那に子供の面倒を見てもらっている。糊のきいたおしゃれなシャツを着ていた旦那は、ノーアイロンでも形状記憶するシャツを愛用するようになった。成美は車通勤だが、旦那はママチャリだ。
「子供が熱出してるって。私今日も残業だから迎えに行って。ごはん作っといてね。」休憩室に行って早口に成美が旦那に電話する。
院内保育は病児も預かるが、38度以上で迎えを要請される。こんな時、院内結婚は便利だ。
「今のうちに旦那教育しないと。料理もまったくできなかったのに、最近では私より上手ですよ。」
成美のほうがずっと給料がいいんだろうなと想像できた。  MIKO

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