臨床工学士②

女性CE
看護師は意外と数字、機器に弱い。看護師だけじゃなく一般的に弱いと思うが、医療業界では看護師、リハビリ技師以外の女医療者は数字に強い。

医師、検査技師、放射線科技師、CEは女もかなり数字に強い。薬剤師は数字とはちょっと違うかな。
そんな中で女CEは頭の中が機器と数字でできている。

CEの由香はカテーテル検査担当だ。放射線を防護するために身につけるプロテクターが重いと弱音を吐く子が多い中、プロテクター着けっぱなしでカテーテル検査を担当している。

「本当はICUで呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)扱いたいんです。でもリュウさんがいるから入れないです。」
由香は諦め顔で言うが、IABP(大動脈バルーンパンピングの事、心筋梗塞後に左心後負荷軽減による心拍出量増加の目的で使われる装置)に関しては由香がリュウを抜いたと一目置かれている。IABPは患者の状態によってアシストを1:2から1:1に変えたり、看護師が何回聞いても理解しがたい設定や波形を由香は熟知している。

CEを目指した理由
臨床工学士の歴史は浅い。国家資格だが比較的合格率の高い職種だ。1988年に臨床工学士法が施行され、当時は1年間のカリキュラムで取れる資格だった。いまだCEの職場は人工透析室だけの病院もあり、施設によって差が激しい職種と言える。

由香は2年生の看護学校を卒業し看護師資格を取って実務3年後、CEの学校に通った実力派だ。
「医療機器が好きで、私の進む道は看護じゃないって思ったんです。日進月歩の医療機器に携わっていきたいなって。しかも機器は陰口言わないし、妬みもないし、すごく素直なんで。」

3年間の看護師の実務中に色々経験したのだろう。

年齢不詳、私生活不詳の由香は33歳説と43歳説がある。
真実を知りたいスタッフが由香の職員カルテを不正閲覧し問題になった。
33歳説と43歳説、聞こえはとんでもない美魔女と誤解するが、それとは程遠い。化粧っ気がなさすぎるタイプの年齢不詳だ。私生活もベールに包まれていて、バツ2説と事実婚説がある。

病棟のナースステーションで由香は心電図モニターのアラームを聞いた。
「〇〇さん、心拍数120です。」
ナースステーションにいる看護師に向かって声を上げた。

返った答えは
「消音押して。」
しかも20年のベテラン看護師だった。

教育のし甲斐がある職場だと思う、CEにとって。  MIKO

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