3交替から2交替へ

3交替と2交替
新人時代、今から20年以上前の話。
勤務は3交替制だった。
病院は入院患者さんを24時間体制で看なくてはならない。
絶え間なく看護するために3交替シフトだった。

日勤、準夜、深夜に分けられ、よく「今日が何日の何曜日」かわからなくなったものだ。

日勤 準夜 深夜
日勤は8時30分から17時までだったが19時前に終業したことがなかった。
ごくたまに18時くらいに終わって、先輩たちに声をかけると、
「じゃあ〇さんの保清してくれない?」とか
「〇号室の〇さんシャワー介助してきて。」など、
時間がかかることを依頼された。

それでも日勤は20時には帰宅でき、好きなテレビを見て寝れた。

準夜は16時30分から深夜1時まで。
夜更かしもするからこの時間までは耐えられる。
なぜか準夜前は仮眠を取らなくても平気だった。

子持ちの先輩方の中にはツワモノもいて、
子供の参観日や運動会に参加して準夜に入る人もいた。
準夜で仮眠を取って入る看護師は少なかったと思う。
準夜の看護師は皆化粧をしていたし、外出してそのまま出勤も多かった。

問題は深夜だ。

日勤深夜入り
悪魔の「日勤深夜入り」
今の「勤務日の間は11時間空けること」どころではない。
深夜入りの日勤は早く帰るよう追い立てられたが、それでも19時30分終業がいいところだった。

ダッシュで帰って行水のようにシャワーを浴び、カップ麺をすする。
起きられなかったら困るので極力体力消耗しないようにベッドで過ごした。
23時には出勤しなくてはいけない。家で過ごせる時間は3時間。
2年目になると要領も掴め、1時間でも目を閉じて眠れるようになった。
時々「寝過ごした~!」と言って駆け込む先輩が羨ましかった。

準夜 深夜の廃止
3年目の春、これまでの勤務体制が大きく変わった。準夜と深夜を続ける2交替という働き方だ。
すでに他の施設でも取り入れられていたから馴染みはあったものの、

家庭持ち看護師のブーイングがすごかった。
「週末しか夜勤入りは無理です。」
「保育所は常時預かってくれるんですよね?」
「旦那とすれ違いになります。」
「思春期の子供こそ危ないんです。」

新しい事の導入には必ず反対勢力の渦が湧いて、説明会だの面談だの看護師に理解を得られるまで時間を要した。

夜勤中の仮眠、休憩の取り方、夜勤手当てや夜勤回数、落ち着くまでに半年以上かかった。
独身組は夜勤手当てと準夜、深夜手当ての合算とどちらが高いかはじき出していた。

中には「できない人の分まで夜勤に入りたい」と師長に頼む看護師もいて、導入初月の勤務表は皆が絶句する仕上がりだった。

この夜勤という勤務に一番必要なのは「体力」次に「順応力」である。時間軸に体を順応できる能力が必要だ。かつて準夜で化粧をしていた看護師も、夜勤にはスッピンで入るようになった。

「もう3交替なんて戻れないわよね。あの日勤深夜入り、思い出すだけでゾッとする。」
3交替導入時に、まるでデモ隊のように活動していた先輩が声高に言った。  MIKO

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