5時チンダッシュ宣言の理由
「今日5時チンなので。」
午前中からそう宣言するスタッフがいる。
終業時間はPM5時と決まっているので何ら問題はない。
むしろ毎日5時チンであってほしい。
しかし「5時チン宣言」している看護師は伏線を張っているつもりだ。
3時半～5時前に入院があれば5時に終わるわけがない。
ようするに
「その時間の入院担当はできない」
加えて
「誰の手伝いもできない」
という意味だ。
7年目の看護師理央
今日の宣言者は7年目の理央だ。
宣言は暗黙の了解で年に数回許される。
「何か用事があるの？」
主任兼リーダーの早紀が質問する。
5時チンで帰れるか否かはこの答次第だ
正々堂々と帰れるのは
①将来がかかっている食事会、相手が異性
②子供の用事
③田舎から親族が来る
④振替の効かない習いごと
⑤自分の受診（うちの病院にない科であること）
⑥有料セミナー受講
（順不同）
逆に多少時間の余裕があることを見抜かれるのは「食事会」だ。
コロナで会食が禁止になって以降会食理由は減ったが、
そもそも6時に会食設定するはずもなく、
「何時までだったら間に合う？」
と聞かれてしまう羽目になる。
恋愛モノに温かい職場
意外と恋愛モノの食事会は周囲も温かい。
恋愛モノはある程度気合が必要なことは皆理解している。
理央はまさにビンゴだった。
看護大学の1年先輩と情報交換がてら会うと言う。
学生時代から憧れていた先輩で、アグレッシブに活躍しているらしい。
しかも独身、イケメン。
SNSをフォローし続け、再会にこじつけたと言う。
5時前から
「もうすぐ5時よ。化粧直しするんだよ。」
助手さんまで理央に言う。
「それ私代わるから。」
私も思わず手を差し出す。
しかし、これは食事デートの結果を部署の皆に報告しなければならない代償付きだ。
翌日すぐに報告しなければならない。
5時チンダッシュ宣言はイベントありきで実践すべきではなく、
本来8時30分～17時までの業務量でなければならない。
遅出業務や早出業務を組み入れ、日勤看護師や夜勤看護師の残務をカバーするよう頑張っているのだが、なかなか残業せざるを得ない状況だ。
しかし今夜の理央が気になる。
どうか理央の想いが実りますように。 MIKO
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